リリアンと悪党ども 改版 (角川文庫 ケ 1-1)

  • KADOKAWA (1998年9月1日発売)
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感想 : 5
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WEB本の雑誌中の企画「第4回酒飲み書店員大賞」候補作品ということで、嬉しくなって感想を書きました。初めて読んだのは「マイ・フェア・レディーズ」のちょっと前くらいですから、10代はじめ?といったところです。

主人公のバニーは本業のほかに、ちょっとうさんくさい人材斡旋ビジネスをやってる小悪党。そこに、テロリスト4人が資金調達のため、アメリカに入国したという情報が…この4人を一網打尽にするという計画のために、彼は赤の他人、エラとリリアンとチームを組み、一夜にしてセレブ家族に!そして、「愛娘」リリアンを誘拐させるのだー!って…すごいなぁ(笑)。

この3人のキャラクターがすごくヘンで面白く読みました。バニーはかっこ悪いし、エラははすっぱだし、リリアンにはまったく可愛げがない…お互いに愛着を抱くという展開はみられず、このプロジェクトはうまくいくの?と思わせておいて、スリリングでスピーディーな展開が素晴らしく巧いです。それにふるっているのが、ほぼラストに、エラが傷だらけのバニーに言う台詞。これが粋でいいんだなぁ、もう(コドモだったからいまひとつ意味不明:笑)!往年の名画のように上品に、しかも切れよく締められる手腕に「これがオトナの世界か!」と魅了されたものでした。

原題が"Stealing Lilian"で、この邦題。訳者の上田さんのセンスのよさと小気味のいい訳に、本当は☆5つオーバーなのですが、年月が過ぎて薄まっても、まだこの☆の数です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 思い出し書き・マイクラシックス
感想投稿日 : 2008年6月23日
読了日 : 2008年6月23日
本棚登録日 : 2008年6月23日

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