原題も邦題もそのものずばりの題名なんですけど(笑)。映画化されたときにその内容で話題をさらった作品です。仏領インドシナで、富裕な中国人の「愛人」となったフランス人少女(著者らしい)の物語です。内容がどうというよりも、植民地に住む宗主国の人間というのは間違いなく富裕層だと思っていましたので、貧しさを乗り越える(→お金を引き出す)ためにこの関係を受け入れるというのが意外でした(フランス人はアジア趣味を結構尊ぶのですが、実は露骨ではないにせよアジア人を嫌っている側面があるので)。まぁ、「愛人」ですからそれなりの場面はあるものの(笑)、淡々とした描写が多くを占めます。結末もすとん、という感じで、かえってキレのよさを感じたものでした。話の運びとあわせて印象的なのは、冒頭の主人公のコスチュームです。よれよれのノースリーブのシルクのワンピースに、男物のベルトと帽子、ラメ入りのハイヒール(ファッション好きだから書いちゃいましたよ:笑)。ぼろっちいような、エキセントリックさをアピールしているような、やせてもかれてもフランス人な感じが印象的でした。映画では帽子や靴などがちょっと変わっていましたが、これはこれで「小生意気なフランス人の小娘」という感じが出ていてよかったです。河出書房新社さんから新訳で出ていますので(しかもサガンとカップリング)、また読んでみてもいいかなと思う1冊です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
思い出し書き・マイクラシックス
- 感想投稿日 : 2008年7月25日
- 読了日 : 2008年7月25日
- 本棚登録日 : 2008年7月25日
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