現代語訳 学問のすすめ (知的生きかた文庫)

  • 三笠書房 (2010年10月21日発売)
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感想 : 23
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自立した個人であるために、そして社会の発展に尽くすために、人は学び続けなければならない。今なお新鮮な輝きを放ち続ける名著、『学問のすゝめ』を現代語訳で紹介する書籍。

貧富や身分の差を生み出す原因は1つしかない。それは、「学問の力」があるかないかによって決まる。学問に励み、物事をよく知った者は偉くなり、富み栄える。一方、無学な者は、貧しく、身分の低い人間になる。

人間も国家もその権利は全て平等であり、互いに相手の権利を妨げる道理はない。仮に、富強な国が無理難題を押しつけるなどの非道な行為を仕掛けてきた場合は、国民は命を捨てて、国家の名誉を守り抜くべきである。

国が独立国家としての権利を世界に広く訴えようにも、国民に独立の精神がなければ、それは叶わない。なぜなら、独立心がない者は、国を愛する心が浅く、自己の権利も主張できず、他の権力ある者に頼ろうとするからである。

心身の働きによって衣食住の安定を求め、個人として独立した生計を立てることは重要である。だが、それだけで満足していてはいけない。世の中の発展のために力を尽くし、社会に自らの活動の跡を遺すべきである。

世の中の変化は予測できないため、賢人でも思わぬ失敗をする。失敗を防ぐには、自分の仕事や学問についてできたこと、できなかったことの損得を差引計算する。そうして自己点検し、将来の方針を立てることが必要である。

真理の探究は、疑いを持つことから始まる。ただ、疑うばかりではいけない。何を信じ、何を疑うか、選択する力が必要だ。学問とはつまるところ、この「判断力」を養うことである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: TP
感想投稿日 : 2023年8月21日
読了日 : 2023年8月21日
本棚登録日 : 2023年8月21日

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