海のふた (中公文庫 よ 25-4)

  • 中央公論新社 (2006年6月1日発売)
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本棚登録 : 2592
感想 : 275
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とても尊敬している、平野紗季子さんのラジオで夏の読書といえば、、で出てきたもの。

ばななさん、久しぶりですが、やっぱり、やっぱり、いい。

優しい気持ちになれる、というより、優しい気持ちを思い出す、そんなイメージ。

ばななさんが描く夏の風景、それは、木や海や動物が寄り添いあって人と自然と混じり合っている風景なのですが、その夏の風景以上のものにまだ出会ったことない。
今回は挿絵の版画がより一層美しく物語を彩ってくれる。版画なのが、島のイメージで、とても、いい。

景色の描写がとても美しく、わたしもかき氷やさんをやっているし、福の木の周りを散歩したり、はじめちゃんと海で話したり、そういうことが、どんな場所で読書しててもできる本。
開けばすぐ自分だけのその世界にゆける。たとえ東京の地下鉄の喧騒にいても。

_φ(・_・
実はいろんなことってそんなに確かなものじゃないっていうことに気づくと苦しすぎるから、あんまり考えないでいられるように神様はわたしたちをぼうっとさせる程度の年月は持つように作られている

お掃除はその人がその空間をうんと愛しているという気持ちで清めることなんだなぁ
大事にされているものは、すぐわかる

はじめちゃんがいっしょにいると、一人でも感じていたことがもっと大きくおおらかに感じられるようになる。
人は人といることでもっと大きくなることがある

大したことができると思ってはいけない
ただ生まれて死んでゆくまでの間を、気持ちよくおてんとうさまに恥ずかしくなく、、この世が作った美しいものをまっすぐな目で見つめたまま、目を逸らすようなことに手を染めず、死ぬことができるよう暮らすのみ

体が涙でいっぱいになったように重かった

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年8月20日
読了日 : 2022年8月20日
本棚登録日 : 2022年7月23日

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