福沢諭吉が見た150年前の世界~『西洋旅案内』初の現代語訳~

  • 彩図社 (2021年6月29日発売)
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感想 : 11
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福沢諭吉の『西洋旅行案内』の現代語訳と著者の解説。
日本には牛車があったのだから馬車も驚かないと思ったが、馬車には驚いたとか、ひとつひとつ当時の日本人の常識に「へー」と思う。
そして、日本がこのとき外国では……?と世界史と結びつけて考えるのは難しいのだが、日本人の西洋旅行記なので、当時の日本の様子と、当時の外国の様子がわかるのも本書の特徴かと思う。
そうか、幕末の動乱期はアメリカの南北戦争前後になるのか。福沢諭吉が南北戦争の直前にアメリカに行って、さらにその6年後にアメリカに行ったので、その前後の様子の描写が楽しく読める。
西洋では日本で働くことはできるか、行くことはできるか、と話しかけられたが、ロシアではロシアに住まないか、ロシア人になれ、と話しかけられたのが、またロシアと欧米の違いがまた興味深い。
自分は高校生のときに、実は福沢諭吉はアジアやアフリカなど経済的に発展していない国を見下していた、と聞き、かなりショックを受けたのだが、この本では、福沢諭吉の欧州贔屓と途上国の見下しが読み取れ残念な気持ちにもなる。今の物差しで当時の思考をはかるのは間違っていると思いつつも。
そういう脱亜入欧の考え方の実際のところを知れたのも、本書を読んで良かったと思うところである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年4月28日
読了日 : 2022年4月28日
本棚登録日 : 2022年4月28日

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