2021/1/6
よくもまぁこんな文章を書けるな、と改めて感心していたら足掛け5年の一切をこの『近代絵画』に捧げたそう。本書は絵画の評論というよりは人間劇から絵画に迫っていく。これが批判される所以でもあるが、いかにも小林秀雄らしくて僕は好き。巻末の中村光夫「小林秀雄論」もその理解を深めてくれる秀作!(画家の個性をヘーゲルやマルクスの史観によって埋没させる現代人に対する警鐘は特に)
絵画は分からん、という多くの声から巷に「教養としての絵画」を謳った本が流布する現状に一石を投じるかのように、小林秀雄は書簡から画家という人間にアプローチする。寧ろそういう方法を以てしか理解できない絵画も一定数あることは疑い得ないのではないか。ゴッホを筆頭にピカソなんかもそうだろう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年1月6日
- 読了日 : 2021年1月6日
- 本棚登録日 : 2021年1月6日
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