僕って何 (角川文庫 緑 478-5)

著者 :
  • KADOKAWA (1988年5月1日発売)
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本棚登録 : 308
感想 : 41
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□自分という存在を見つめ直すきっかけになる一冊。
□流されて何となくで学生運動組織の中に入るも、自分とはどこか合わないと感じ、他の組織から声がかけられその時は揺るがない意思で新しい組織に属するも、やはり自分とは違う、そんなことの気持ちと行動を繰り返ししてしまう主人公(僕)の姿はどこか自分達にもあてはまるのではないかと思った。
□その時は必死に考えてこの方法と飛びつくも、自分の芯がない故にブレてしまう。そして、そんな自分を認めたくなくて、自分は他者とは違う、それどころかどこか滑稽な存在と思ってしまう僕の姿は、今、自分は何の信念をもって生きているのかと考えさせられた。
□63頁の一文が特に印象的だった。集団の中にいるのは何となくのつながりが出来てしまった。自分も学生の頃、何となくの繋がりで属していた集団があるが、輪の中にいる時は心地いいものの、一歩離れると何故属しているのだろうかと思うことが多々あった。
□何となくで生きてはいないか。意思があって属しているのだろうか?しかし、ひとつ言えることは、何となくでも生きていくことが出来てしまうということだ。

・まだ一緒に暮らすようになる以前、遠くから眺めていた時とレイ子は、僕にはとうてい手の届かない、神秘的といってもいいほどの存在だった。(57頁)
・自分がB派の中にいるのは、けっきょく、そのにいる人間たちと、何となくつながりができてしまったからにすぎない。(63頁)
・「B派の中でこれ以上闘うことができない-それだけの理由だ。僕は自分が正しいと思ったことをやる。君が正しいと思うことと、僕が正しいと思うこととが違うというのは、好きかきらいとかそういうこととは別の問題なんだ。今までがうまくいきすぎていたんだ」(86頁)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年6月2日
読了日 : 2021年6月2日
本棚登録日 : 2021年6月2日

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