この本はかなり好きだなぁ。
3回くらい読んでて内容も忘れちゃうんだけど、忘れたら何度でも読めるので、あえて内容は書かない。
橋が二度と会えない別れの場所となった。水がものすごい音で寒そうに流れて、川風が目を覚ますような冷たさで吹きつけた。鮮やかな川音と満点の星の中で短いキスを交わして、楽しかった冬休みを思いながら二人は笑顔で別れた。夜の中を、ちりちりと鈴の音が遠ざかっていった。私も等もやさしかった。
「今がいちばんつらいんだよ。死ぬよりつらいかもね。でも、これ以上のつらさは多分ないんだよ。その人の限界は変わらないからよ。またくりかえし風邪ひいて、今と同じことがおそってくることはあるかもしんないけど、本人さえしっかりしてれば生涯ね、ない。そういう、しくみだから。そう思うと、こういうのがまたあるのかっていやんなっちゃうっていう見方もあるけど、こんなもんかっていうのもあってつらくなくなんない?」
たとえば、今は昨日よりも少し楽に息ができる。また息もできない孤独な夜が来るに違いないことは確かに私をうんざりさせる。このくりかえしが人生だと思うとぞっとしてしまう。それでも、突然息が楽になる瞬間が確実にあるということのすごさが私をときめかせる。
読書状況:未設定
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2016年5月31日
- 本棚登録日 : 2016年5月31日
みんなの感想をみる