本屋さんの次に大好きなのが文房具屋さん。
小学校のそばにあった、古くて薄暗い文房具屋さんを思い出しました。

鎌倉の山の手にある「ツバキ文具店」
そこで祖母から引き継いだ”代書屋”をしている鳩子。

まず、この代書というお仕事に驚きました。
ただきれいな文字で書けばいいのではなく、
聞き取りをして手紙の文章まで考える。
書く内容に照らし合わせた手紙の形式、紙の質、それにあったペン選び、色使い、文字の形にいたるまで。

”権之助さま”のご遺族へ宛てた「お悔やみ状」がツボでした。
なかでも胸を打たれたのは、「結ばれなかった初恋の人へ宛てた手紙」
相手の現在の幸福を願いつつ、自分は元気で生きているとだけ伝えたい。せつない…。
あと、「天国の夫からの恋文」もよかった。
他にも、借金の断り状や離婚のお知らせだったり、いろいろあって。

鳩子の周りにいる人たちがみな温かくて、
人とのつながりの大切さが心にしみます。

ただね、先代の手紙を読んだときの鳩子が、あまりにそっけなくてつらかったです。
先代としか呼べなかった祖母との関係性や、鳩子の心の傷はわかるんですが…。
最後の涙はどうかおばあちゃんに届いていてほしい。

あまり書かなくなってしまったけど、手紙っていい…。
そしてやっぱり自筆の手紙がいいなぁ。
心が伝わる気がするんですよね。

2016年9月6日

読書状況 読み終わった [2016年9月6日]
カテゴリ あ行
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