槇生が部屋に置いておいた母の日記を見つけた朝。とうとう両親が亡くなったことを受け止め始めたか。ほしい言葉をくれない槇生。自分の孤独は自分だけのもので、誰にも踏み入れさせない、という気持ちわかる。簡単な同情はいらないし、まったく同じように悲しんでくれる人はいない。
気持ちを書くことの難しさ。書いた言葉が文字になると本当ではない気がしてきてしまうの自分にもある。手書きの文字を読むのにエネルギーが要るのもわかる。
日記というのは本来とても私的なもので、人の日記を読むのはまさに自分の知らないその人の姿を知る行為だ。たとえ将来自分に渡されようとしていたものでも、朝が母の日記を読むのは大変なことだろう。しかも、母は既に亡く、書かれた言葉を確かめることができない。まさに深淵を覗く。
しかし槇生は手を出さない。あくまで孤独は朝自身が自分で噛み締め、歩くものなのだと。自分の孤独に寄り添うことも許さない槇生だから。
そんな槇生が笠町に頼れと言われたり、ちゃんと頼ってみたり、そして笠町の方は弁護士を気にして醍醐に探りを入れたり。ここら辺の大人のモゾモゾした動きもいい。笠町のアプローチは不器用なようでとてもまっすぐで、いい。ときめく。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
726: 漫画. 挿絵. 童画
- 感想投稿日 : 2020年12月23日
- 読了日 : 2020年12月23日
- 本棚登録日 : 2020年12月23日
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