ハサミ男 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2002年8月15日発売)
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本棚登録 : 1727
感想 : 157
5

推理小説のレビューの難しさは、何の気なしの文章が、ネタバレになりかねないことだと思う。。。

と前置きしておき、書けるコメントがあるとするならば、この本を読んだら、必ずもう一度読み直すことになるだろうということ。

「ハサミ男」と呼ばれた、連続殺人犯は、3人目のターゲットである、樽宮由紀子の殺害計画を練り、いざ実行しようとしたところ、自分と全く同じ手口で、殺されており、また、自分は最初の目撃者となった。
なぜ、自分と同じ手口で殺されてしまったのか、犯人とその目的とは。
そこからこの物語が切り開かれていく。

この本が面白かったのは、すでに連続殺人を成し遂げた主人公の視点から描かれていることである。

この、誰の視点の話か、というところがものすごく重要で、大切なのは、主人公であるハサミ男に感情移入しすぎないこと。

全ての謎が解かれ、本を読み終えたとき、後に残るのはすっきりか、モヤモヤか。

きっと多くの人は、モヤモヤした気持ちになり、2度読むことになる。
そしてこの小説のエレガントなトリックにハマってしまうのだ。

タイトルのシンプルさとは裏腹に、物語の奥行きを、味わってください。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年6月10日
読了日 : 2020年6月9日
本棚登録日 : 2020年6月9日

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