高野氏の本にはハズレが無い。
「関西の納豆嫌い」について、事実としてそういう人はいるだろうが、事実か否かに関わらず、何故そうした関西は納豆嫌いとする風潮が出来上がったのかが分からない。本著でも述べられるが、関西地区は気候が温暖で魚が手に入り易かったから、納豆を作る習慣がなかったから。本当か?で、東西に割れる日本にいながら「納豆は我が国のものである」と上から目線でアジア探索する高野氏。更に、高野氏は日本でもその起源を探ろうと飛び回るのである。素晴らしい探究心。
アジアにも納豆はある。それは粘くなかったり、焼かれていたり。共通するのは、どことなく漂う懐かしさ。ホッとする。そして、各国、民族の納豆文化を軸にその地の人との触れ合いを描く。
納豆を作る文化を持つ人々は、比較的タンパク源に恵まれない高地の方で、性格的な特徴にも共通点があるような気がする。平地の開放的な民族性に比べ、固く真面目な気質のようだと。この本に薄っすら流れる、高野氏の本にしては残念な飛び抜けたキャラクターが登場しない予定調和感はこの納豆気質によるものか。
つまり、真面目な仕立てである。ソマリランドを先に読むと、少し大人しめな印象を受けるが、これはこれで。ホッとするのであった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年3月3日
- 読了日 : 2024年3月3日
- 本棚登録日 : 2024年3月3日
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