幾らでも文章が書ける人は、根が饒舌なのだろうか。森博嗣は著作が比較的多い割に、養老孟司と対談した別著で、識字ができないディスレクシアのように自分の事を言っていたので、一体どういう事なのだろうか気になっていた。答えは本著にあった。何のことはない、森博嗣は遠視だったのだ。
読書論というだけで私は軽くテンションが上がるのだが、森博嗣に関しては、その価値観が異なる点でも面白い。私は比較的、多読派だが、森博嗣は量より質のタイプ。どんな本でも熟読すれば、得るものがあるという。アウトプットは相手へのインプットを意識して、しかし、自らのインプットは読書以外からの方が重要と言い切る。
スマホ一つで知らない単語を検索できる世の中だから、知識を詰め込む意味は相対的に低くなるが、読書の価値は知識を得る事ではなく、体験を得る事。そして、脳内の体験を結びつけてアイデアに繋げていくという考えが重要。難しい本ほど、その意味を解釈する事に味わいがある。読書の最中に思考が逸れて、別の事を考えることにも読書の意味がある。これらの発言は、共感できる所があった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2022年5月28日
- 読了日 : 2022年5月28日
- 本棚登録日 : 2022年5月28日
みんなの感想をみる