全さんのような、どこか掴みどころのないふわふわしてるのに鋭い目線をもっているような人を身近に知っていたので妙に納得しながら読み進められました。私の知っているその人は全さんほど格好良くはないけど笑
藤子は藤子で全さんによって止まっていた時が進み出すし、全さんは生の終わりに向かってはいるが最後まで全さんらしさを貫き通す。年の差恋愛が全面に描かれた話ではあったが、そこよりも大きいテーマとして「生」があったように感じました。
里見が個人的に大好きです。「やっぱり病気は平等だったな」と笑いながら言って死んでいった里見のことを考えると、彼は果たして幸せを感じることができた人生だったのだろうか?と思い胸が苦しくなりました。全さんもまた然り。藤子が出会った人みんな死んじゃったのが心苦しすぎた。
それでも私の中で色濃く残るであろう作品の一つです。千早茜さん、本当に素敵な文章表現ばかりで…大好きな作家さんです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年5月24日
- 読了日 : 2023年5月24日
- 本棚登録日 : 2023年5月24日
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