『少女ソフィアの夏』がおもしろかったので、似た装幀の『彫刻家の娘』を借りてくる。"彫刻家"とは、トーベ・ヤンソンの父のヴィクトル・ヤンソンのこと。なので、自伝みたいなやつかなーと思ったら、『少女ソフィアの夏』みたいに、子ども時代の思い出を核にふくらませた「お話」になっていた。
子ども時代に見た夢うつつの世界や、その中にひたっていたお話の世界の続きが書かれているようでもあった。とくに「チュールのペチコート」「雪」「飛ぶこと」がおもしろかった。心が飛びたつようだった。自分がすっかり忘れている何かをちらっと思い出すようだった。
ヤンソンさんは、空想をふくらませてその世界で遊べる子どもだったのだろうなと思った。そういう子ども時代の根っこがあって、物語の世界をつくりだしていけるのだろう。
「作家が物語を書くときにいちばん大切なことは、ああそうだ、こういうことがあったなあとか、自分もあたらしい発見をするためになにかをはじめようとか、そういった欲求を読者に与えることができるかどうかということです」(p.236)というヤンソンさんの言葉を訳者が紹介している。
「あの子ども時代なしには、ムーミントロールの物語を書くことはなかったでしょう」(p.234)とヤンソンさんは語っているそうだ。未読の「ムーミン」シリーズも、いよいよ読んでみるかなーと思う。
(6/5了)
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
図書館で借りた
- 感想投稿日 : 2014年6月5日
- 読了日 : 2014年6月5日
- 本棚登録日 : 2014年6月5日
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