華氏451度〔新訳版〕

  • 早川書房 (2014年6月25日発売)
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感想 : 97
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レイ・ブラッドベリの焚書をテーマにしたもはや古典のディストピア小説。
火を愛し、書物を燃やすファイアマン(昇火士)のガイ・モンタークはある少女との出会いと彼女の家が燃やされたときから
自らの職務、書物を忌避する人々への疑問を持つ。
そして彼は書物を守ろうとする人々に近づいていく。

タイトルの華氏451度は紙が自然発火する温度を示す。(摂氏232.8度)
火を消す者ではなく火をつける者がファイアマンと呼ばれる時代。
淡々とした暗いストーリーながら、書物と好奇心を守るための葛藤や誇りが描かれており、結構ドラマティック。人類の蓄積、歴史が紡ぐ物語を燃やし尽くすのは一瞬である、そこに美を見出す人もいる。
本を燃やすファイアマンだったモンタークが、同僚に目を付けられ、心を変えていくまでのプロットには正直粗い部分もあると思ったが、昔のSFっぽさが満載。それにしても面白かったし、ラストが非常にかっこいい。本好きの心をくすぐる一冊です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2024年2月18日
読了日 : 2024年1月1日
本棚登録日 : 2023年12月31日

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