イスラームの日常世界 (岩波新書 新赤版 154)

著者 :
  • 岩波書店 (1991年1月21日発売)
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感想 : 56

1991年刊。著者は中央大学教授。◆些かイスラム贔屓が過ぎる気がしないではないが、日常生活、社会生活、政治等全般に影響するイスラムの特徴を検討するのは新書としては高評価だろう。◇人間性弱説(欲望や誘惑に人間は弱い)。礼拝重視のため意外と清潔保持の文化あり。貧者・弱者・無業者にも暖かな目線(喜捨。なお富者から施しは義務的で、受取側が畏まらない)。現生利益をアッラーに求める祈りはサラー(礼拝)と別途に存在。意外と楽しいラマダン。厳格な男女の別は、逆に女子高大と同様のノリを生む。出席者女子限定の結婚披露宴。
これには去勢者だけは男性でも参加可。等といった思わぬ素顔が垣間見える。◆ところで、清水芳見氏著の「アラブ・ムスリムの日常生活―ヨルダン村落滞在記 (講談社現代新書)」よりは、内容から導き出される帰結を一般化しようとしている気がする。もっとも、どちらにも一長があることは間違いないし、余りそういうことに頓着しないでも楽しめる書なのは間違いない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月22日
読了日 : 2017年1月22日
本棚登録日 : 2017年1月22日

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