棚から哲学 (文春文庫 つ 11-5)

著者 :
  • 文藝春秋 (2002年8月2日発売)
3.41
  • (22)
  • (38)
  • (115)
  • (7)
  • (0)
本棚登録 : 416
感想 : 35

底本2000年刊。御茶の水大学教授による週刊文春掲載随筆録。かなり面白いが、あざとさを感じなくはない描述。本書の面白さは①常識(多くの人に妥当する共通認識や期待)を、(一気にもしくは徐々に)ずらし、予期しない結末を提示すること、②行間に、アイロニー・皮肉もしくは比喩を滲ませるが、その真意は多義に解釈でき、著者の本音をいかようにも想像でき、結果、著者の文体に幻惑される点にあるのでは、と感じた。こんなことが出来るのは、実は言葉の定義を徹底して厳密化する著者ならでは。特に「悲観・楽観」の解釈でそれを感じた。
こういう文章が書けること自体、驚異的なことであり、実は羨望の眼差しで読破したところ。ただ、著者、かなりの「ニヒリスト」という気がしないではない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2017年1月21日
読了日 : 2017年1月21日
本棚登録日 : 2017年1月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする