からくりからくさ

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104299010

感想・レビュー・書評

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  • 梨木香歩さんの紡ぐ世界が大好き
    手作りの仕事ってすごいなあ
    一つ屋根で暮らす四人の女性と市松人形
    それぞれの家族や友達
    ルーツが絡み合っていく
    《 唐草を 名もなき女 布に織り 》

  • つながり、ということでしょうか。

  • 私も子どもの頃、機織という作業に憧れていた記憶があります。(おもちゃの織機が欲しくてたまらなかった)
    この作業は非常に女性的なイメージがありますよね。

  • 染色と機織りをする娘たちのお話。

  • 全く分からなかった(笑)

  • この本は、難しい。様々なモチーフが繋がって大きな絵が描かれていく様は梨木作品の真骨頂なのだが...女性同士の関係性や、血の繋がりというテーマはあまり作者らしくないようにも思う。
    染色や織物から志村ふくみのことを連想せずにはいられず、このテーマでドロドロの男女の物語を書いてほしいようにも思うが、やはり梨木さんが扱うとこの作品のような方向に行ってしまうのかな。決して否定的ではないのですが。一度読んで見たい、宮尾登美子みたいな梨木作品。
    変な感想かもしれないが、作中の人物の立ち居振る舞いから色々学ぶ。そして、それを表現する筆致が素晴らしい。「居丈高でもなく、卑屈でもなく、また媚びるでもなく、皮肉でもなく、ただわかってもらうため、紀久は淡々と語り続けた。」

  • 再読
    染織家の蓉子は,祖母の亡くなった後の古い家を下宿屋として,3人の女性たちを迎える.リカさんという市松人形が核となって,この趣ある家にひっそりと確かな存在感を放っている.日々の何気ない自然の中の生活がとても贅沢な時間に思われる.そして呼ばれるように集まった3人に,蔦や龍や能面の竜女の因縁で複雑に絡み合い,それぞれの人生が最後の火事で昇華される.淡々としながらも強い主張を持った美しい佇まいの物語だ.久しぶりに心が洗われるようだった.

  • 2016/04/21 読了

  • 祖母を亡くした蓉子。蓉子は人形のりかさんと、同年代の3人の女性と祖母の住んでいた家で同居を始める。

    日本家屋での暮らし、染色、機織り、草花を食べること、などの要素がたくさんあり日本的だなあとほっとした気になりながら読んでいた。

    その一方でチェーン店が立ち並ぶ似たり寄ったりの郊外の様子を「どういうセンス?」と書き、帰化植物の話からは「文化の純血性ばかりに神経尖らせていたら、文化って痩せて貧弱になっていくのかもね」と締められる。
    しかもこういうことがさらりと書かれているので、読みとばしそうになるけどひやっとする。

    あとアイデンティティを見つけるというのは、生きる意味を見つけることかと思った。
    アイデンティティは自分探しなど、外にでることではっと見つかることもあるかもしれない。
    でもそれは外に出ずとも自分の身近で見つけれられるものかもしれない。自分の先祖や家族から伝えられるもの、自分の今まで生きてきた日常の連続が作り上げてきたものでもあるのだと思う。自分のもとがどこにあるのか知ることは、根を張って生きることだ。

    この一冊から学ぶことが多すぎる。一回読んだだけでは消化しきれない。

  • 女性4人の共同生活から話が始まる。
    梨木さんの作品はあらすじだけを淡々と説明するとなんだかとても陳腐な説明になってしまって難しい。

    登場人物それぞれのアイデンティティ、ルーツを探すお話。

     呪いであると同時に祈り。
     憎悪と同じくらい深い慈悲。
     怨念と祝福。

    遠い昔から絡み付いてきたわずらわしとともにのびていこうとするエネルギー。それは様々な人たちの願いや祈りや思いそのもの。
     

    P369 最終的には、竹田くんの言葉に集約されるのかなと

    「ねえ、これからきっと、こうやって、僕たちも何度も何度も、国境線が変わるようなつらい思いをするよ。何かを探り当てるはめになって、墓を暴くような思いもする。向かっていくんだ、何かに。きっと。小さな分裂や統合を繰り返して大きな大きな、緩やかな統合のような流れに。草や、木や、虫や蝶のレベルから、人と人、国と国のレベルまで、それから意識の深いところも浅いところも。連続している唐草のように。一枚の織物のように。光の角度によって様々に変化する。風が吹いてはためく。でも、それはきっと一枚の織物なんだ。」

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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