コンビニ人間

著者 :
  • 文藝春秋 (2016年7月27日発売)
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感想 : 2379
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村田沙耶香さんはオールナイトニッポンにゲスト出演したときに心わしづかみにされる人柄だと思った。読書中はついつい主人公と村田さんを被らせて想像しながら読んでしまったが、もちろんそれは正しくない。しかし、村田さんを想像しながら読んだため、終始、主人公に好意を抱きながら読んだ。ずっとずっと、主人公古倉さんの個性が失われずに、そうならない環境や社会であって欲しいと願いながら読んだ。
作中の登場人物は少々、大げさすぎる感があり、そこまで他人を非難しないのではと感じることもあったが、実際にそういう人は存在する。また、小説などの登場人物は多くの人の心の中に存在する一部分を増幅させて1人の人間として描いていることが多いと思うから、登場する人々のどこかしらに自分や周りの実在する人を感じ、共感も多かった。
特に、古倉さんの人への観察がとても好き。感情を起伏させている人の正直な心を目の色を観察して感じ取る。確かに、そういうことある。そして、自分の目の色もいろんな色をしているのかもしれない。
もう一つ、他人が伝染して自分が形成されていく、という表現も納得した。口調などだけでなく、人は自分で考えたと思っていることでも、時代の流れや他人の発した論理に影響されていることがほとんどだと思う。
ラストが思ったよりあっさりしていたと感じたが、古倉さん押しとしては良かったと思うし、さわやかだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年9月7日
読了日 : 2017年9月7日
本棚登録日 : 2017年9月7日

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