紙屋ふじさき記念館 麻の葉のカード (角川文庫)

  • KADOKAWA (2020年2月21日発売)
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感想 : 64
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シリーズ一作目。日本橋にある「紙屋ふじさき記念館」が舞台。和紙のコーディネーターや記念館の館長でもある藤崎さんと、大学生の百花が主な登場人物。
「菓子屋横丁 月光荘」シリーズの木谷先生もちょこっと登場する。

記念館といいながら全く宣伝や案内・手入れ等をしていなかったものを、百花が拙いながらアイデアを出してイベントで売る商品を開発したり、友達の知恵も借りながらSNSで発信したり頑張る。紙に詳しく情熱がありながらも記念館に関してはやる気がなさそうだった藤崎さんも、百花の一生懸命さに乗せられだんだん変わっていく…という感じ。
文具好きがワクワク出来るストーリーでもある。竹尾のショールームとか、ゾクゾクするほど楽しかったなと思い出したり。

・紙は理論上の平面とは違う。乾燥して水分は抜けているな、もとは繊維が溶けた水(重なりあった森)でそれが圧縮されている。厚みがあり立体。
・紙は昔から強い力を宿すもの。文字は言葉を形にしたもので目に見えない重さがある、文字をのせる紙にはそれだけの力が宿っている
…というような言葉が印象に残った。

百貨店くらいしか行ったことがない日本橋を巡ってみたくなった。
就職したて時、そんなこと普段はしない父に、平日夜待ち合わせてその辺りの百貨店の特別そうなレストランに連れていってもらった。あれはどこだったんだろう?とずっと思っていたけれど、日本橋髙島屋の特別食堂だったかもしれない、とこの本を読んで思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年4月17日
読了日 : 2024年4月17日
本棚登録日 : 2024年4月16日

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