河童 (集英社文庫 あ 22-2)

著者 :
  • 集英社 (1992年9月18日発売)
3.56
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本棚登録 : 558
感想 : 57
4


やっぱり表題作の「河童」が一番面白かった。
「どうか Kappa と発音して下さい。」って副題なんや。
別に河童という言葉って芥川が作った造語じゃないよな?なのにこの言葉はちょっとふしぎ。
そこまで河童という存在の知名度がなかった?

短編集やったけど他の話はわりとふわふわしてるというか抽象的な感じで、唯一この話と「桃太郎」が話の筋がはっきりしてて分かりやすかったかな。

それにしてもどちらもメルヘンな世界観かと思いきやけっこう内容はブラックな感じでその辺はいかにも芥川龍之介ってかんじなのかも。

河童の世界に迷い込んでそこで暮らした彼は元の世界に戻っても人間にはもはや馴染めなくなってたわけやけど…そもそも河童自体が精神病になってた主人公の妄想?
それともほんまに河童の世界に行ってたけどそれを周りに話したら頭がおかしくなったと思われて入院させられてた?
その辺は読者の想像におまかせなんかな。

私としてはほんとうに彼は河童の世界で生きてたけどそれを人間世界で受け入れてもらえず「早発性痴呆症」と名前をつけられてしまった、に一票!
何となくその方がファンタジーで面白い。
けど、もしかしてこの話全てが精神病患者による妄想?と思わせる節も残してるのもまた面白いところかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: おかあさん
感想投稿日 : 2021年10月22日
読了日 : 2021年10月22日
本棚登録日 : 2021年10月22日

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