僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-1)

著者 :
  • 早川書房 (2016年6月23日発売)
3.83
  • (154)
  • (259)
  • (196)
  • (29)
  • (3)
本棚登録 : 3282
感想 : 192
3

Amazonの紹介より
人々が少しだけ違う並行世界間で日常的に揺れ動いていることが実証された時代――両親の離婚を経て母親と暮らす高崎暦(たかさき・こよみ)は、地元の進学校に入学した。勉強一色の雰囲気と元からの不器用さで友人をつくれない暦だが、突然クラスメイトの瀧川和音(たきがわ・かずね)に声をかけられる。彼女は85番目の世界から移動してきており、そこでの暦と和音は恋人同士だというのだが……並行世界の自分は自分なのか? 『君を愛したひとりの僕へ』と同時刊行


もう一つの作品「君を愛したひとりの君へ」を読んでから、こちらを読みました。
2つの作品を読んだ時、うまくリンクされている部分もあって、大いに楽しめました。

何が違うのかというと、両親が離婚した際、どちらにつくのかで、物語が変わっていきます。「君を〜」では父親と暮らすのに対し、こちらは母親と暮らします。

どのようにリンクしていくのか興味津々でしたが、なるほどここで繋がるのかといった場面が数個あって、一つの作品だけでは味わえない優越感がありました。
この場面の裏側では、こういう物語があったんだという発見があって、面白かったです。

「君を〜」では、全体的に切なさがあったのに対し、こちらはシリアスな部分がありながらも、微笑ましさの残る余韻に浸れました。逆の順番で読んでいたら、切なさの残る余韻でしたので、個人的にはこの流れが好きでした。

大人になるまでのヒロイン・和音との仲睦まじい雰囲気がよく、後半では殺人というキーワードには驚きがありましたが、主人公の苦悩を通して、「家族」としての結束力が深まって良い余韻に浸れました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2022年9月
感想投稿日 : 2022年10月4日
読了日 : 2022年9月19日
本棚登録日 : 2022年9月19日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする