魔力の胎動

著者 :
  • KADOKAWA (2018年3月23日発売)
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ピエール・シモン・ラプラスは,この世のすべての原子の現在位置と運動量を把握する知性が存在するならば,その存在は,物理学を用いることでこれらの原子の時間的変化を計算できるだろうから,未来の状態がどうなるかを完全に予知できる-と曰うた・と3年前に調べている・英語の副題はLaplace"s movement~工藤ナユタは甘粕才生が監督した「凍える唇」で倒錯した快楽を求める少年を演じ,からかわれて高校に通えなくなったが,医学部に進学した。しかし,鍼灸師に鞍替えして,師匠の客を引き継いで全国を駆け回っている。その一人は,ベテランのスキージャンパー。膝を悪くして引退も考えている。母を竜巻で亡くして,流体力学に興味を持つ,羽原円華が向かい風を読めるんだと関わってきた。捕れるキャッチャーが膝の故障で投げられなくなるプロのナックル・ピッチャーに後釜のキャッチャーに自信を持たせることにも関わってきた。工藤の高校時代の恩師が,発達障害の息子を川の事故で植物状態にしたことを悔やんで,求職中であることを知って,母親が飛び込んでも助けられないことを円華が証明し,父である羽原全太朗による脳外科を受けさせることを承諾させた。工藤の客である盲目の作曲家の恋人の死の真相を解明した。谷底から吹き上がってくる風の音を採録しようとして崖に立って,吹き下ろしてくるダウンフォースを受けたのであって,同性愛のカミングアウトを苦にした訳ではなかったのだ。ナユタがゲイに嫌悪感を抱くのは,ナユタと名乗る前の京太として出演した「凍える唇」の打ち上げで,映像プロデューサーの水城義郎に無理矢理酒を飲まされ,強姦された記憶が心を傷つけられたことを円華は知っていたのだ。本名で生きていくことを決めた工藤は,水城義郎が温泉場で散歩に出て,硫化水素中毒で死んだニュースを聞く~関係者の3人目は,家族を失った映像作家が立ち直っていく様をノンフィクション小説にし,更に映像化しようとしている~そして,2015年に出した「ラプラスの魔女」に続く・・・っと,ということでした

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年8月14日
読了日 : 2018年8月14日
本棚登録日 : 2018年8月14日

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