御当家七代お祟り申す 半次捕物控

著者 :
  • 講談社 (2010年7月22日発売)
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柳沢家と犠牲にされた同郷の家臣との確執~半次の住む町に将棋の天才児がいると聞いて見に行くと,甲州の浪人・武田の親子と知り合い,天満宮で開かれている菅公の筆蹟展覧会で悶着を起こしている。孝行者で顕彰される養女のみわは武田の家に押し入ろうとしている武家二人の会話を漏れ聞いてしまうが,刺客は返り討ちにあってしまう。賽銭を集める夫婦神の所有・管理権を巡る争い。千石の旗本家に正妻におさまった毒婦は跡取りを虐め,それを見過ごすことができなかった親殺し手配中の中間は跡取りを孝行娘に預けたつもりで,十手持ちの世話になってしまう。老舗菓子店の娘は大工の若い衆に惚れ,親に嘘を付いて無理矢理婿にしようとするが,半次の取りなしを反故にした菓子舗の主人の邪魔立てで,間男を大工が刺してしまう事件が起こり,死ねば夫か妻が咎めを受けるところを孝行娘の義理の姉の機転が救った。隅田川側の桜見物の名所の地上げを巡る争いは蟋蟀の鼻が利いて御家人の悪事を暴くことになる。蟋蟀の勘では,武田某は大きな敵討ちを計画しているのだが,大和郡山の柳沢家の参勤交代を襲う事件が頻発していると聞くと,半次も何やら繋がりを感じ始め,奉行所から郡山探索を命じられると,七度目の襲撃が起こりそうな気配を察知する。武田が蟋蟀の許に挨拶に来たところに行き会い,柳沢家から潜り込んできた刺客との立ち会いを必死で止めた半次は,武田と柳沢の仲裁を提案する~微妙な繋がりを織り込んで一冊にまとめているが,色々な調査結果があって半次を狂言回しにしてフィクションとして組み立てて行くのだろう。なかなかに大変な作業だ。半次が岡っ引きでありながら隠密のような仕事をこなしていくと,その行動に制約が出るので,無茶をする人物が別に必要になり,蟋蟀が必要になる・・・という塩梅だ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2010年10月30日
読了日 : 2010年10月30日
本棚登録日 : 2010年10月30日

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