<帝国>は歴史的時間を汲み尽くし、歴史を宙づりにし、それ自身の倫理的秩序のなかに過去と未来を呼び集める。p25
<帝国>において、倫理・道徳性・正義は、新たな地平へと投げ入れられるのである。p36
(Cf. ミシェル・フーコー)規律社会から管理社会へ。そこでは生権力が作用する。自分のメモ
社会構造とその発展過程の中枢にまで到達した権力の内部に包摂されてしまった社会は、まるで単一の身体のように反応するのだ。このようにして権力は、全住民の意識と身体の深奥にまで行き渡ると同時に、社会的諸関係の総体を横切って拡がっていくような管理として表現されることになる。p42
フーコー「社会による諸個人の管理は、意識やイデオロギーをとおして行われるだけでなく、身体の内部で、身体とともに行われるものである。資本主義社会にとって何よりも重要なのは、生政治的なものであり、生物学的なもの、身体的なもの、肉体的なものである」p46
<帝国>の生政治的なコンテクストがもつ支配力は、まず第一に、空虚な機械、スペクタクルの機械、寄生的な機械とみなされるべきであろう。p91
ニコラウス・クザーヌス「思弁とは「なぜあるのか[原因の認識]から「何があるのか」[本質の認識]へと知性が動くことである。そして、「何があるのか」と「なぜあるのか」のあいだには無限の距離が存在するのだから、そのような知性の動きが終わることはけっしてないだろう。しかも、それは非常に楽しい動きなのである。というのも、そうした動きは知性の生命そのものだからだ。このような事実から、知性のそうした動きは満足を見出す。というのも、その動きは徒労感でははく、光と熱を生みだすものだからだ」p102
近代性そのものは、危機によって定義されるものなのである。そして、この危機は、内在的・構築的・創造的な諸力と、秩序の回復を目指す超越的権力とのあいだの、絶え間のない抗争から生じる。p108
スピノザ「自由な人間は何よりも死について考えることがない。そして彼の知恵は、死についての省察ではなくて、生についての省察である」p110
ヘーゲル「即時的かつ対自的な国家は人倫的全体である。<中略>国家が存在することは、世界における神の歩みにとって必須の事柄なのだ」p117『法の哲学』
ジャン・ボダン「主権的至高権威と絶対的権力の要点は、臣民全般の同意なしに彼らに法をあたえることからなる」p119
ヘーゲル「私法および私的利福の領域、家族および市民社会の領域に対して、国家は一面では外的必然性であり、それらの領域より高次の力であって、その本性にそれらの領域の利害と同様に法律も従属させられ、依存させられる。しかし、他面では、国家は、それらの領域の内在的目的であり、国家はその強さを、普遍的な究極目的と諸個人の特殊的利害との統一において、すなわち諸個人が諸々の権利をもつかぎり、同時に国家に対する諸々の義務をもつという点においてもつのである」p122 『法の哲学』
形而上学的な領域に視点を移してみた場合に、至高の君主制的身体が神の身体の一部であったのとまったく同じように、封建的所有権は君主の身体の一部であったのである。p131
国民的同一性とは、血縁関係という生物学的連続性と領土という空間的連続性、そしてまた言語の共通性にもとづいた、統合を推進する文化的同一性のことである。p132
ネーションの概念は、支配者の手のなかにあるときは静止状態や秩序の回復を助長するものであるが、被従属者の手のなかにあるときは変化と革命のための武器となるようにみえるのだ。p145
民族が進歩的でものであるのは、あくまでもそれがより強力な外的諸力から自分を守るために固められた防御線である限りにおいてなのだ。p146
マルチチュードの脱領土化の欲望こそが、資本主義的発展のプロセス全体を駆動するモーターなのであり、資本はたえずそれを抑えこもうと試みなければならないのである。p168
他性とは所与のものではなく、生産されたものなのである。p169
【ポストモダニズム】
・ポストモダニズムの分析は、グローバルな差異の政治、国家の境界の厳格な条里化を逃れた、平滑な世界を横切る脱領土化された流れの政治の可能性のほうを指し示しているのである。p189
・何が新しいかといえば、ポストモダニズムの理論家たちは近代的主権の終焉を指摘しており、近代の二項対立や近代の同一性の枠組みの外部で思考する新しい能力、複数性と多種多様性の思考を実演しているという点である。p190
・思いきり単純化して言えば、ポストモダニズムの言説はグローバリゼーションの過程における勝者に主として訴えかけ、原理主義はその敗者に訴えかけているのだと論じることもできるだろう。p198
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- 感想投稿日 : 2012年8月4日
- 読了日 : 2012年4月17日
- 本棚登録日 : 2012年5月6日
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