今村氏らしい、疾走感全開の江戸青春小説。
前半は4人の筆子の紹介も兼ねた事件。ここは展開は緩やかで面白いが勢いがつかない感じ。その中でも今回の黒幕・源之丞や三雲禅助が登場し大きな事件を予感させる。後半の伊勢詣の道中、事件が起きる。十蔵は捕らえられ、筆子たちが奮闘する。
ツッコミどころは多いが、後半は一気に読んでしまう点が流石。襤褸鳶シリーズのように様々な特徴の忍びが出てるが、印象的な者は少なく、その点はこの設定の限界かもしれない。
江戸物の青春小説というと、宮本昌孝『藩校早春賦』が想起され、それには及ばないけれど、武家だけでなく商家や大工の子らが活躍する点に新しさと広がりを感じた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年12月16日
- 読了日 : 2023年12月16日
- 本棚登録日 : 2023年12月16日
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