素晴らしい。エンタメ群像劇でありながら、人生の絶望や皮肉や希望を謳いあげている。主人公の九野刑事の屈折したキャラが魅力的で共感できる。ちんけな狂言放火に端を発するこの物語は、7年前に愛する妻を失った九野刑事と、スーパーでのパート勤務の及川恭子を軸に、緊張感とスピード感を加速させながら進んでいく。その見事な術中にはまった読者は、いつの間にか一筋縄ではいかない人生の悲哀と希望をそこに見つけ出し、決してハッピーエンドではないけれど、「強く生きればなんとかなるさ」と心が浄化されるのであった。
影の薄いお義母さんの描写が秀逸。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年7月28日
- 読了日 : 2023年7月28日
- 本棚登録日 : 2023年7月28日
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