木製の王子 (講談社文庫 ま 32-6)

著者 :
  • 講談社 (2003年8月1日発売)
3.32
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本棚登録 : 451
感想 : 35
4

久しぶりの麻耶初期作。
この装飾過多な感じの文章が堪らない!
この頃の麻耶ってミステリの中におセンチな群像劇も垣間見得て、読んでいて心地いいんですよね。
本作を読むには『夏と冬の奏鳴曲』『痾』に連なる一連の騒動を把握しておいた方がいいと思います。とはいってもどちらも入手困難なのがアレですが…
そして、本書を語る上で外せないのが分刻みの細かすぎるアリバイでしょう。
私は自分で考えることを早々に放棄し、ただ流れを追うだけになってしまいました。
アリバイ崩しの真相は逆説的なもので、ははぁと唸りはしましたが、驚いたというよりはなんとか理解したという状態でした(爆)
この本の白眉は、真相が暴かれた後にその力を発揮する本書の構成です。
このような事件のミステリを思いついたとして、どうしたらこういう構成を思いつくのか、麻耶の頭の中はどうなっているのでしょうか?
世間的な評価はあまり高くないようですが、凝った構成が事件に無理なく組みされており、十分良作だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年2月28日
読了日 : 2015年2月23日
本棚登録日 : 2015年2月23日

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