傲慢と善良

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2019年3月5日発売)
3.87
  • (606)
  • (1099)
  • (663)
  • (92)
  • (26)
本棚登録 : 8619
感想 : 957
4

久しぶりの長編小説。
先が気になってぐいぐい引き込まれて読んだ。
現代の恋愛や婚活の大変さが生々しく描かれていて読み応えある作品だった。

婚活で知り合ったのは真実(マミ)35歳と
架(カケル)39歳、
ストーカーに遭っていると震える真実(マミ)に、架は結婚を決意し一緒に住むことにした。
だがある日突然、真実(マミ)が失踪!!
真実の居場所を探すため架は彼女の「過去」と向き合っていく為に、真実の実家に行ったりしていく。。。

実家にいたときに結婚相談所で婚活をしていたというので、相談所の女性の小野里と会い、いろんな話を架が聞いていく…。

現代の結婚がうまくいかない理由は「傲慢と善良」にあるー
この小説のタイトルにもある言葉がテーマになっていて、それは作中で何度も出てきた言葉である…

結婚となると、なかなか決められない。
誰でも謙虚で高望みしていないと言い、自己評価が低い一方で、自己愛の方はとても強いとか…。
ほんとに誰しもそうだと思う。

なかなか自分に合う人に巡り会うのは難しい…。
ピンとこないという言葉!その正体は自分につけている値段だという。

ささやかな幸せが掴みたいだけなのに…
傷つきたくない、変わりたくない…気持ちがある…、
いろいろと頷きながら読み進めてしまった。

一般的に男女間でも結婚したい時期やタイミングって違うと思う。
出産を考える女性は早めに結婚したい気持ちも当然あるのだが男性側は、なかなか踏み切れないことも多いように思う。
でも女性から結婚を迫れない女心もあるから悩ましい問題。
男性側も妻子を持つことをなかなか決断できないために相手を逃してしまったりする。

この物語の真実(マミ)もいろいろと悩んでいた、
その気持ちはわかる…!

でもこの物語の真実(マミ)に関しては………。

いくら傷ついてしまったとはいえ…
式場予約をしたまま、連絡をとらずに長期間、
婚約者や家族に大きな心配や迷惑をかけたままでいたことは、30歳を過ぎているのに幼いのではないかと思わずにはいられなかった。

だから結末はそっちに行く?
と、ちょっとびっくりしてしまった。
でも真実(マミ)の事を、全て受け入れられる架に驚きつつも、なるほどこれが、恋愛ってことなんだなと思えた。

この本はこれから結婚…と考えたりしている世代や
その親達世代も読むといろいろと考えさせられる
1冊だと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月9日
読了日 : 2023年10月7日
本棚登録日 : 2023年10月7日

みんなの感想をみる

コメント 2件

つくねさんのコメント
2023/10/14

チーニャさーーん、こんにちは♪

辻村深月さんの作品すごく気になってるんですが
KindleUnlimitedで最初に読んだ「パッとしない子」って作品が
じわーっとイヤミスぽくって、それから手を付けられずにいるんです。
繊細な心理描写が得意な作家さんだそうで重いイメージあるんですが、
チーニャさんのレビューみて、そろそろ冒険してみようと思いました。


チーニャ、ピーナッツが好きさんのコメント
2023/10/14

しじみさーーん、こんばんは♪

この本、私は読み終わり、なかなか抜け出せずに、考えさせられました。(私の場合です)
私はどの登場人物も好きになれなかったりしたのでモヤモヤしたのです。それでも、私はイヤミスっぽい作品でも好きなんで良かったんですよね…(笑)
でも他のブク友さんはスッキリした読後感の方の方がかなり多いのでしじみさんも大丈夫かもしれません。良かったら読んでみてくださいね…♡

ツイートする