坊っちゃん (新潮文庫)

著者 :
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「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている」
有名な冒頭文位しか知らなかったので、手に取ってみた。
面白かった。

主人公の「坊っちゃん」は東京育ち。
数学教師として四国、松山の中学に赴任した。
そこで出会ったのは、くせ者揃いの教師たち。
校長先生には「狸」教頭先生には「赤シャツ」
そのほかの先生を「山嵐」「うらなり」など…
坊っちゃんは、ひそかにあだ名をつけたりして関わっていく。
そして生徒たちのいたずらや、先生たちといろんな
騒動を巻き起こしてユーモアや人情味溢れる作品となっていた。

不公平なことや、自分だけが得をしたりするような曲がった事が大嫌いで、ケンカ好き。
自分の正義を貫ぬいて、あとは野となれ山となれ精神の強靭なメンタル。
そんな主人公がいっそ、うらやましい。。。
不器用で損ばかりしてしまうけど、そんな坊っちゃんが好きだな。
ウジウジしてない、その真っ直ぐさに惹かれてしまう。
坊っちゃんは、べらんめい的な江戸っ子口調に対して
四国のおっとりとした方言の人たちも入り混じっていて、面白く話が展開していく。
「〇〇ぞなもし…」などの方言が時々出てきて読んでいて癖になる感じ(笑)
高知県の踊りの描写も出てきて興味深かった。
太鼓に合わせて真剣の抜身をふって踊る、太刀踊り、土佐踊りとも、いうらしい…。

世渡り下手で、損をするタイプだが、子供の頃からの家のお手伝いのお婆さん(下女)の清だけは理解者。
主人公を丸ごと受け入れる清との関係性は、なんとも心温まるところ。
四国の田舎に行って離れ離れになってもお互いを大切に思うところにジーンとくる。
「坊っちゃん」という作品名にもしみじみ感じた。

あっけない幕引きで、
終わってしまうところも
サバサバした性格の坊っちゃんらしいと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年11月13日
読了日 : 2023年11月13日
本棚登録日 : 2023年11月13日

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