読んでいてずっと、あー辛いな!と
思いながらも、ページを捲る手が止まらなくなりました。
子供に恵まれずに長い不妊治療を経て
特別養子縁組で養子をもらった栗原夫妻。
中学生で妊娠し、やむを得ず赤ちゃんを栗原夫妻に託した幼い実母のひかり。
それぞれの葛藤と人生を描いている作品でした。
登場人物の心情を丁寧に描いているので…
胸に迫ってきて、たまらない気持ちになりました。
ひかりは
教育者である親から、親としての気持ちばかり押し付けられて封じ込められる窮屈さに
息苦しく感じていたように思う…。
家族内での居心地の悪さに加え
思春期の背伸びしたいような気持ちや
未熟な思考の描写などが…
リアルに感じられ
引き込まれました。
ひかりは決して悪い子ではないと思うし
だからこそ自分勝手な思い込みや
幼く無知で、危険な行動の数々をしてしまうところに…
私は、ハラハラしたり
かわいそうに思えたりしました。
そして、ひかりは親からの愛が足りなかったのかな…とも…。
やっぱり子供にとって親の愛は必要不可欠。
すべての子供にとって、心から安心できる場がなくてはならない。
それは血の繋がりは関係ない。
心身共に穏やかに過ごせて
自分の心の内を話せたり
親には頼ったりできて
いつでも自分は受け止めてもらえる存在なのだと
信じられるように…。
親は、血の繋がりがあるという事に甘えないで
自分の子供にちゃんと向き合わないといけないし
子供の気持ちも考えないと
こんなに娘の人生が悲惨なことになってしまう…。
ひかりが、かわいそうに思えて仕方なかったな…。
ひかりの両親は、なんでひかりを探そうとしなかったのだろう…⁉
家出したひかりを心配していて探していて…
自分の娘を、最後は助けてほしかったなぁ…!
でも、ラスト。
生みの母であるひかりへの感謝を忘れない
子供を引き取った育ての母である佐都子の
圧倒的な優しさに救われたようで…
それはとても良かった…!
いろいろ考えさせられる作品でした。
- 感想投稿日 : 2024年2月17日
- 読了日 : 2024年2月10日
- 本棚登録日 : 2024年2月10日
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