朝が来る

著者 :
  • 文藝春秋 (2015年6月15日発売)
3.90
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本棚登録 : 5067
感想 : 781
5

読んでいてずっと、あー辛いな!と
思いながらも、ページを捲る手が止まらなくなりました。

子供に恵まれずに長い不妊治療を経て
特別養子縁組で養子をもらった栗原夫妻。
中学生で妊娠し、やむを得ず赤ちゃんを栗原夫妻に託した幼い実母のひかり。
それぞれの葛藤と人生を描いている作品でした。

登場人物の心情を丁寧に描いているので…
胸に迫ってきて、たまらない気持ちになりました。

ひかりは
教育者である親から、親としての気持ちばかり押し付けられて封じ込められる窮屈さに
息苦しく感じていたように思う…。
家族内での居心地の悪さに加え
思春期の背伸びしたいような気持ちや
未熟な思考の描写などが…
リアルに感じられ
引き込まれました。

ひかりは決して悪い子ではないと思うし
だからこそ自分勝手な思い込みや
幼く無知で、危険な行動の数々をしてしまうところに…
私は、ハラハラしたり
かわいそうに思えたりしました。


そして、ひかりは親からの愛が足りなかったのかな…とも…。

やっぱり子供にとって親の愛は必要不可欠。
すべての子供にとって、心から安心できる場がなくてはならない。
それは血の繋がりは関係ない。
心身共に穏やかに過ごせて
自分の心の内を話せたり
親には頼ったりできて
いつでも自分は受け止めてもらえる存在なのだと
信じられるように…。

親は、血の繋がりがあるという事に甘えないで
自分の子供にちゃんと向き合わないといけないし
子供の気持ちも考えないと
こんなに娘の人生が悲惨なことになってしまう…。

ひかりが、かわいそうに思えて仕方なかったな…。 
ひかりの両親は、なんでひかりを探そうとしなかったのだろう…⁉
家出したひかりを心配していて探していて…
自分の娘を、最後は助けてほしかったなぁ…!

でも、ラスト。
生みの母であるひかりへの感謝を忘れない
子供を引き取った育ての母である佐都子の
圧倒的な優しさに救われたようで…
それはとても良かった…!
いろいろ考えさせられる作品でした。





読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年2月17日
読了日 : 2024年2月10日
本棚登録日 : 2024年2月10日

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コメント 6件

つくねさんのコメント
2024/02/17

チーニャさん、こんばんわ♪

チーニャさんのレビューに思わずもらい泣きしてしまいそうでした。
なんとひかりの両親にまでスポットライトを当てるとは深いですね。
子供を産み終えてからのひかりの人生、家出して職を転々としなっがら我が子に会いにきたり世間知らずで本当に大変だったと思うのですが
思い返すとジワジワと込み上げてくるものがありますね。

チーニャ、ピーナッツが好きさんのコメント
2024/02/17

しじみさ〜ん、こんばんは(*^^*)♪

しじみさん、かなさんのレビューを読んでこの作品手にしてみました〜!
ありがとうございます〜♡

しじみさんのレビューにあった箇所は私もどれも頷きながら共感してて。同じ様にレビューするのもどうかな…⁉と思ったりして…^^;〜
なので、それ以外に気になったところをレビューしてみましたよ…!


チーニャ、ピーナッツが好きさんのコメント
2024/02/17

親子関係ってやっぱり血が繋がっていても難しいって思いますよね。
この作品のひかりも自分の親たちと上手くいってなくて…。さびしかったり孤独だったり感じてたと思うので…。
初潮が始まるくらいに学校でも、性教育って、やってくれるのだと思うけれど、子供によっては、ちゃんと理解しきれてないだろうと思うんです。家庭でそういうこと、ちゃんと話せたりできていれば、ひかりも良かったのに…とまずは思いましたね。
ただでさえ思春期になっちゃうと、反抗期だったり普通の家庭でもなかなか話しにくいことですよね。だから特に親子間が良好でなかった場合は尚更ですよね。
それからはじめての出産なのに、幼いひかりはたったひとりぼっちで、しかも遠いところで心細かっただろうなって感じたし…。
家出しても放ったらかしって、そんな親、私には信じられなかった。
この本読んでまずはひかりの親たちに、頭にきちゃった…。ヒドイなって。
朝が来るってタイトルあったけれど、栗原夫妻にとっては長い不妊治療から、養子もらえて朝が来たって、それはいいと思うんです。
ひかりにとっては、どうなんだろうって思ってしまったんですよね。あのあと佐都子さんが迎えに来てくれたけれど…。あれで朝が来たようにハッピーエンドとは思えなかったんですよね!!
あのあとどうなるのか、栗原夫妻が力になってくれるのでしょうかね?ひかりに朝ってちゃんと来たんでしょうかね?
そこにちょっとモヤモヤ感を覚えたりもしました…!


チーニャ、ピーナッツが好きさんのコメント
2024/02/18

辻村深月さんがこの作品を書くにあたって、色々と調べたりして書いたのだと思いますが、この作品に近いようなことが現実にもあるから書いたのだと感じましたね。
特別養子縁組制度も少ないながらもありますね。中高生の妊娠だって、増えていたりするのではないでしょうか…。
読者にこの作品を通じて色々と考えてもらいたくて辻村深月さんは書いたのだと思いました。
映画もされてますね。小説より映像がキレイで、内容もアッサリしていて、でもちゃんと伝わるようになってると思います。
(観たことあります)
親が自分の子供たちに小説読ませるのは大変でも映画なら観てくれるかもしれないな…などといろいろ思ったりしました…^^;

かなさんのコメント
2024/02/18

チーニャさん、しじみさん、こんばんは(*^^*)
チーニャさんも、しじみさんも
熱いレビューとコメントにびっくり!!
この作品読んでもらえて、そして共感してもらえて
すっごく嬉しいです♪
ホント、いろんなことを考えさせられる作品でした。
読んでいて、きつくなったこともあったけれど、
でも、ラストがすごくよくって…もう涙が止まらかったんです。
読めてよかった作品だったと思ってます(*^^)v

チーニャ、ピーナッツが好きさんのコメント
2024/02/18

かなさ〜ん、こんにちは(*^^*)

そうですよね、私も読めて良かったです。かなさんのレビューでもずっと気になってましたよ!
出産を巡る女性の実情が描かれていて、感じましたし考えさせられましたよね…。
ホント、ラストがよかったですねぇ…・゚・(ノД`)・゚・。

朝斗・佐都子・そしてひかりに
幸多からんこと願うばかりです!

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