蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1997年2月28日発売)
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蝶々の纏足
纏足は、古代中国で女の子の足がこれ以上大きくならないように施されていた風習。当時は足が小さい子が可愛らしいとされていたらしい。
纏足、の意味を調べてゾッとした。可愛い可愛いえり子の本当の心はどこにあったのか。えり子は瞳美のことが本当に好きだったんだと思う。幼少期から思春期に移り変わる時期の、自分でもコントロールできない自己顕示欲と羞恥心と、愛情と嫉妬と支配欲が大爆発した2人。瞳美はそのエネルギーが男に向いただけのこと。少女って、見た目以上に残酷な心を持っている。

風葬の教室
クラスの女子の嫉妬からいじめを受け出した転校生の杏が、心の中で1人ずつクラスメイトを殺していく。後半までほぼいじめ描写でキツかった。子供は残酷。杏の世界の捉え方が、大人びすぎて、だからこそ周りはそれが気に入らない。死のうとした時に、お母さんとお姉ちゃんがしてる明日杏にシュークリームを作ってあげようって会話を聞いて死ぬのをやめたの、尊い。少女にとってこの幸せがどれだけ重要か。女の子って嫉妬とか生理とかほんとにめんどくさい。でも女の子だからこそ、男に抱かれることの幸せを知れたり、意中じゃない人をドキっとさせたり、泣き真似をしくしくすることができる。

こぎつねこん
けっこう意味が分からなかったけど、本当ならこわいものが、世の中にはある。

山田詠美、僕は勉強はできないとはひとあじ違って、少女の残酷さと美しさが山田詠美の語彙で見事に描かれててよかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年3月15日
読了日 : 2023年3月15日
本棚登録日 : 2023年3月15日

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