秀吉と武吉―目を上げれば海 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1990年12月24日発売)
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著者の作品は『官僚たちの夏』以来2冊目。題名にある羽柴秀吉と村上海賊の総大将・武吉が直接会うのはかなり終盤だ。まず海賊の厳しい掟の場面。そして戦国~織豊~江戸という激動の時代を通して、武吉の波乱の人生が描かれる。現代人の目からは「負け組」に映るだろう。海賊の矜持から瀬戸内が権力者の「池」に成り果てるのを恐れはするが、だからと言って権力者に媚びず、義と誠の精神をもって毛利、小早川に与した武吉。結果論としてその選択は失敗だったが、日本人の好む生き方であった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2024年3月30日
読了日 : 2024年3月24日
本棚登録日 : 2024年3月30日

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