歴史学者の加藤陽子教授による、日本の近現代史、特に戦争・紛争についてを中心に記述したもの。また、この本の大きな特徴は、加藤先生が、中高生に対して、5日間の講義として、それを語るということだ。
扱っている戦争・紛争は、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変と日中戦争、太平洋戦争。こうしてみると、明治維新後、太平洋戦争まで、日本は多くの戦争・紛争の当事者となっている。それは、何故なのか、また、特に太平洋戦争を始めてしまったのは何故なのか、についてを中高生に対しても分かるように、説明するというのが、本書の意図である。
加藤先生と、生徒の間には、双方向のやり取りがある。例えば、太平洋戦争についての、生徒側からの加藤先生に対しての疑問・質問は以下の通り。
1) 日本とアメリカには圧倒的な戦力差があることはわかっていたのに、どうして日本は戦争に踏み切ったんですか。
2) 日本軍は、戦争をどのように終わらせようと考えていたんですか。日本軍の最終目的が知りたいです。
この質問に答えるのは容易ではない。シンプルな答えがあるわけではなく、歴史上の出来事や流れ・事実を丹念に追って説明するしかない。また、これに答えるためにこそ、記述を日清戦争まで遡って始めるしかない。
それを加藤先生は丁寧にやられているし、生徒たちも、自分の頭で考えながら、ついて行っているのがよく分かる。
歴史を学ぶ大切さと面白さを両方感じさせてくれる。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年2月17日
- 読了日 : 2021年2月17日
- 本棚登録日 : 2021年2月11日
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