筆者の初めての短編集だという。3作入っている。それぞれ「株」「マイホーム購入」「リストラ」をテーマにしてる。
最初のふたつはいわば情報小説のようなもの。あまり知られていない(僕が知らないだけだろうか)情報をちりばめて、それで物語を進めていく。登場人物が新しい情報を得てあれこれ考えたり行動したりするのを、追体験していく感じである。それぞれの情報はなかなか「へえ」と思うものが多く、興味深く読むことができた。小説としてはどうかというと、それほど感心はしなかった。どちらもちょっとした落ちで物語を締めくくってるのだけど、その落ちが弱い。いかにもそこで物語を終えるための落ちって感じがしてしまう。ほんとうだったらもっとつっこめるネタなんじゃないだろうかって、そこまでの情報が面白いだけに思ってしまうのだ。「マイホーム購入」の話については、別の意味でも「?」だった。
面白かったのは最後の話。まあ極端な物語なんだとは思うけど、笑えたしちょっと神妙な気持ちになった。コンゲーム的である。こういうのなら、また読みたいなって思う。
2004/8/19
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本の小説
- 感想投稿日 : 2010年8月28日
- 読了日 : 2004年8月19日
- 本棚登録日 : 2004年8月19日
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