『作文とは言葉の料理である』
本質的には作文と料理は同じものであり、読み手に自分の意見や主張を正確に伝える文章を書くことが目的ならば、それは料理を食べた相手に『美味しい!』と言わせることだと思います。
知人・友人とのメールだけでなく、ショッピングサイトのレビュー(例:Amazon)、飲食店サイトの口コミ(例:食べログ)、SNSの投稿(例:Facebook)など、個人が作文する機会はひと昔と比べて爆発的に増えました。それにも関わらず、正しく相手に伝わった(または相手の意図を明確に理解できた)といえるものは、正直どのくらいあるでしょうか?(この人の目的は、自分の知識を披露することなのだろうか?・・・など、只々冗長に書かれた投稿をよく見かけませんか?)
本書でも述べられていますが、作文というものは自身の間違い(無駄にくどい、実は論理が成立していないなど)に気が付きにくいという致命的な特徴があります。(不味い飲食店は自然と客足が減り売上も下がるので、気が付くきっかけがありますが)
本書の中で私が最も印象に残ったのは、「あなたが思っているほど、読者は頭がよくないのです。(P81)」の一文でした。「1分で話せ」という単行本が以前ベストセラーになりましたが、伝えるという点においては書くことも同じではないでしょうか。「XXX字でまとめよ!」のような本が脚光を浴びる日が来ると個人的には嬉しいのですが。
前回の東大作文に続き、本書もとても平易な文章で書かれており、読み手のことがよく考えられた良書だと思います。
- 感想投稿日 : 2019年4月11日
- 読了日 : 2019年4月5日
- 本棚登録日 : 2019年3月24日
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