ずっしりとした濃厚なチーズケーキを食べたような本だった。一口一口じっくり食べ、食べ終わった後も
舌に残ったほのかなレモンの酸味をいつまでも味わっていたいような……。
ある変わった一家をずっと追った話。
毎回、違う人物からの視点で話は進み、時間軸も過去に遡ったり先ほどまで小学生だった(次女、陸子)がいきなり20歳になってたりすることに驚いた。
そうやってたまに置いてきぼりにされたような寂しさを感じつつも、私も柳島家の家族と一緒に過ごしているような暖かい気持ちになれた本だった。
本当に長い長い年月がこの本の中で流れ、成長していく子供たち(望、光一、陸子、卯月)を本の中で見つけた時は、まるで親戚の叔母さんのように懐かしくそして微笑ましい気持ちになった。
両親(豊彦、菊乃、百合、桐之輔)や祖父母たち(竹次郎、絹)の若い頃の章は、柳島家の子供になって、本人達から昔話を聞いているようだった。
変わった一家のだけど、皆愛すべき人達。
特に子供たちから人気のあった優しくてユーモアたっぷりな桐叔父が私も大好きで、だからこそ彼が亡くなった時は私も柳島家の皆と一緒に泣いてしまいました。
こんなに心を揺さぶられた小説は久しぶりでした。
いい本に出逢えたと思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
本
- 感想投稿日 : 2014年2月13日
- 読了日 : 2014年2月13日
- 本棚登録日 : 2014年2月13日
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