人は誰もちょっとした満たされない思い、思うままにならない状況、いたたまれないほどではないが逃れられない立場等を抱えている。そのうような否定的な環境にありながらそれぞれがそのストレスを何らかの形で発散している。ただしそれは倫理的道徳的法律的に許される範囲である。
しかしこの物語では登場人物たちの多くが超えてはいけない一線を越えていってしまう。それも本人さえ気がつかないようなちょっとした逸脱が重なって、重大な状況に陥っていくのである。人はこのようにして堕ちていってしまうのかと考えさせられる。とはいっても物語の展開は重たいものではない。いろいろな立場の違う登場人物たちが、絡まり合って一つの物語を作っていく。先の読めないストーリー展開で読者を引き込んで、最後まで一気に読んでしまうエンターテイメント作品である。
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- 感想投稿日 : 2016年11月18日
- 読了日 : 2016年11月18日
- 本棚登録日 : 2016年11月18日
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