その名にちなんで (新潮文庫)

  • 新潮社 (2007年10月30日発売)
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本棚登録 : 520
感想 : 72
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インド出身でアメリカに暮らす大学教授一家のほろ苦い家族物語。主人公は息子のゴーゴリ、というよりその家族。
著者の小説には、家族にすら理解されない言いようのない孤独というようなものがすっと描かれていて、それが何とも腑に落ちる。自分だけではないんだとも思わせてくれる。自分自身が学生だった頃、かみさんと付き合っていた頃、子供が小さかった頃、子供が大きくなった最近のこと、年老いたおふくろ、17年前に亡くなった親父のこと等々思い出しながら読み終えた。愛する家族であっても、その時々で近付いたり離れたりする。全く理解できなくなったり、自分も若いころはそうだったくせに許せなくなったりする。
家族でも夫婦でもどんなに近くにいても、本当の心の内は思いもよらない。やはり一身同体ではあり得ない。
今この時、この本を読めてよかった。孤独や現実を受け入れることができるようになった。と思いたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外文学
感想投稿日 : 2023年6月7日
読了日 : 2023年6月7日
本棚登録日 : 2022年12月21日

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