新約聖書外典のトマス福音書の成り立ちについての研究と、本文一つ一つに荒井氏による膨大な解説を付けてある。共観福音書との並行部分も並べて明記してあり、Q資料(これは、最近はないとする研究も出てきているらしいが)との関係も書いてあり、これ以上ないくらいわかりやすい解説書になっている。参考文献リストも整理されて完備。これを読むにあたって、新約聖書とグノーシス主義についての最低限の知識は必要だと思うけど…。
謎めいた本文の意図するところの解説は異論も併記しつつ平明で、著者?編者?のユダヤ人キリスト教、グノーシス主義との混交した立ち位置がしっかり分かるようになっている。こんなものを文庫で出してくれているなんて、恐ろしくなるくらい。ありがとう講談社学術文庫。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
学術
- 感想投稿日 : 2023年2月27日
- 読了日 : 2023年2月27日
- 本棚登録日 : 2023年2月27日
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