中学生から何度も読み返した大好きな十二国記。今さら感想なんてと思いつつ。
異界に連れ去られて放り出され、極限の孤独と戦いの中で身も心も粉々に打ち砕かれていく陽子。命のともしびすら消えかけた陽子の中から、諦めたくない、という強烈な意志が殻を破って出てくる。やはり陽子は強い人だ。
ついにたどり着いた、裏切られてもいいんだ!強くなりたい、という高潔な精神はこの過程を経て強く強く輝いて私の心の内までもあまねく照らす。でもその道は自分の醜さ、愚かさを見つめ、抱えて進む苦難の道。さらに重い一国の王座まで引き受けて、一歩を踏み出す陽子のなんと尊いこと。
予王や塙王は自らの猿に惑い、堕ちていった。陽子は長い戦いの末になんとか御しているけれど、彼らの苦しみと罪も未だ同じ地平線上のものと知っている。
私は冗祐が、わたしは知っている、と言うシーンが好きだ。冗祐はおそらく、予王の顛末も身近に見てきた上で、玉座を望みなさい、と言ってるのだろう。重い。
疑心にまみれて最後に死を選んだ予王と、陽子がつかみとったもの。天命はそこまでを見通していたのだろうか。
読み返せば、その時々の心に応じていつもいろんな箇所が響いてくる。今回は、ましになる気があれば、嫌でもなれる、と言った楽俊の言葉が胸に響いた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2019年10月4日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2019年10月4日
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