まず題名がいい。前にエッセイを読んだ時も思ったけど、言葉を取り扱う手つきみたいなものに愛がある。世界の「うつくしさ」をありのままにはすくいとれない言葉に対してできうる限り誠実に、ひたむきに取り組んでいる感じがして読んでいて温かい気持ちになる。この本の詩の中に「読むことは、本にのこされた沈黙を聴くことである」という一節があるけど、まさに言葉にならない沈黙を聴いているような、不思議な感覚がした。
一番好きなのは「雪の季節が近づくと」。雪がすべてを真っ白に消し去って、それと同時に遠いものを近づけていくような感じ、すごくわかる。東京ではそんな雪ってめったに降らないけど、子供の頃の思い出に一気に戻っていくようで胸がきゅーっとなった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
詩集
- 感想投稿日 : 2022年10月25日
- 読了日 : 2022年10月25日
- 本棚登録日 : 2022年10月25日
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