普段、発売間もないハードカバー本を買うことはないのですが、これはもうタイトルの『図書室で暮らしたい』と表紙のイラストに思いっきり共感してしまい、しかも大好きな辻村深月のエッセイときたら手に取らないわけにはいきませんでした。
友人とのランチの帰り道、パン屋さんでパンを買い、ふらりと立ち寄った昔ながらの小さな書店で平積みされているところを見つけました。
読んでいて、途中、何度も涙で中断を余儀なくされました。それでも読み始めたら止まらなくて、読み進めては泣き、を繰り返してようやく読了。
「好きなものが多すぎて、ごめんなさい!」のオビのアオリ文そのまんま、好きなもの、好きなことについて、作品への愛の滲む文章でたくさん語られています。
さらに、小さな子供を持つ母親の体験談も多数掲載されていて、泣いたのはおもにこちら。「うちの子へ」はもう涙なくしては読めない……!
全編に共通していると思うのは、他者への感謝の気持ちに溢れていること。子供の頃に貴重な体験をさせてくれた大人の話や、作家生活、育児生活のなかで出会った人たちからの温かい言葉や気遣い……それらをテーマにしつつ、そこに敬意や感謝が込められていて、心がほかほかしました。
辻村さんの人柄の温かさを知ると同時に、自分の好きなことに正直に、まっすぐになるための勇気を伝えてくれる素敵な一冊です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
特集:辻村深月
- 感想投稿日 : 2015年11月17日
- 読了日 : 2015年11月17日
- 本棚登録日 : 2015年11月17日
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