手塚治虫のシリーズ「火の鳥」の中でも最高傑作の呼び声高いのがこの鳳凰編。
舞台となっているのは8世紀、聖武帝の頃の奈良の都。
鬼畜のごとき殺人者だった我王はある事によって命の尊さを知り、
苦難を経て己の存在を見つめなおしてゆく。
飢餓に苦しむ人々とともに這うように生きる我王と、絢爛豪華な大仏建立を手がける茜丸。
違う道を歩いてきた二人の仏師の運命が交錯し、
印象的な生命のドラマを生み出している。
輪廻の摂理、生きることとは何かを説く仏教。
一方、政治と癒着し、権力の道具とされてゆく仏教。
そんな世の中にある欺瞞と憤りが見事に描かれ、
その中であがくように生きる生命のみずみずしさが鳳凰(火の鳥)に
シンボライズされてゆく。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本史_06奈良時代
- 感想投稿日 : 2015年5月4日
- 読了日 : 2013年8月13日
- 本棚登録日 : 2013年8月13日
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