火の鳥 4 鳳凰編 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (1992年12月8日発売)
4.01
  • (123)
  • (65)
  • (113)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 978
感想 : 67
3

手塚治虫のシリーズ「火の鳥」の中でも最高傑作の呼び声高いのがこの鳳凰編。
舞台となっているのは8世紀、聖武帝の頃の奈良の都。

鬼畜のごとき殺人者だった我王はある事によって命の尊さを知り、
苦難を経て己の存在を見つめなおしてゆく。
飢餓に苦しむ人々とともに這うように生きる我王と、絢爛豪華な大仏建立を手がける茜丸。
違う道を歩いてきた二人の仏師の運命が交錯し、
印象的な生命のドラマを生み出している。

輪廻の摂理、生きることとは何かを説く仏教。
一方、政治と癒着し、権力の道具とされてゆく仏教。
そんな世の中にある欺瞞と憤りが見事に描かれ、
その中であがくように生きる生命のみずみずしさが鳳凰(火の鳥)に
シンボライズされてゆく。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史_06奈良時代
感想投稿日 : 2015年5月4日
読了日 : 2013年8月13日
本棚登録日 : 2013年8月13日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする