漱石先生のファンで、有名なタイトルを時系列に網羅していくチャレンジ中です。
「それから」読み進めるのがつらいけど、どんどん読むスピードが加速していきました。
登場人物は全員クソ野郎です。でも全員その辺にいそうな感じの人たちです。世間にいろいろある恋愛のひとつの、1シーンを切り取ったような小説で、そこらじゅうにありそうな話なんですが、そのせいで「お前は俺か!」って思わせる、登場人物みんなの心の機微を絶妙に読者の心に映してくれます。この二人は愛し合っているけど、幸せにならないな、という空気が不気味に漂ってつらくなりました。
漱石先生は、こんな恋愛は幸せにならないよって諭したいのでは決してなくて、人は変なこともやっちゃうし、かっこつけたがりだけどださいし、真剣に人を好きになっても報われないことが多いし、それまで積み上げたものを失うし、曖昧な感じで生きてうまくいく人もいるし・・・それが人間だよね、とやさしく厳しく語りかけてくれている気がする。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年6月3日
- 読了日 : 2021年6月2日
- 本棚登録日 : 2020年5月14日
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