今までオースターの本を5冊ほど読んでずっと感じていた、捉えどころが無くメランコリックで空虚な感じ。なぜオースターの作品はそうなのかが、よく分かるような自伝的作品。
「見えない人間の肖像」は読んでいて恐ろしかった。オースターの父の底なしの空虚が。息子オースターの内にも外にも満ち満ちている孤独が。彼らの、常に紗幕越しであるかのようなぎこちないふれあい。そこにほんの時おり、目が合ったように思える一瞬があったのだと思うと切ない。オースターが空虚な父を発見して理解していったように、いつか私も子供に見透かされるのだろう。
後半に収録された「記憶の書」は、あまりにも断片的で、集中力が途切れてしまい残念ながら読み通せなかった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2015年4月9日
- 読了日 : 2015年4月8日
- 本棚登録日 : 2015年4月7日
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