孤独の発明 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1996年3月28日発売)
3.56
  • (88)
  • (90)
  • (242)
  • (17)
  • (2)
本棚登録 : 1481
感想 : 86
4

今までオースターの本を5冊ほど読んでずっと感じていた、捉えどころが無くメランコリックで空虚な感じ。なぜオースターの作品はそうなのかが、よく分かるような自伝的作品。

「見えない人間の肖像」は読んでいて恐ろしかった。オースターの父の底なしの空虚が。息子オースターの内にも外にも満ち満ちている孤独が。彼らの、常に紗幕越しであるかのようなぎこちないふれあい。そこにほんの時おり、目が合ったように思える一瞬があったのだと思うと切ない。オースターが空虚な父を発見して理解していったように、いつか私も子供に見透かされるのだろう。


後半に収録された「記憶の書」は、あまりにも断片的で、集中力が途切れてしまい残念ながら読み通せなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2015年4月9日
読了日 : 2015年4月8日
本棚登録日 : 2015年4月7日

みんなの感想をみる

ツイートする