2020年10-12月期、TBS系「日曜劇場」の原作である。第1回の放送を観てその展開の面白さに舌を巻き、「ドラマの放送中に原作本をAmazonで取り寄せる」という、僕にとって初めてのことをさせた本だ。
主人公・伯朗の弟、明人は一体どこに、誰が拉致しているのか。そして伯朗の母、禎子は本当に事故死だったのか。この物語にずっとつきまとう2つの大きな謎が、全487ページの最後のわずか54ページ――全体の11%までになってやっと解明される、しかもこんなまさかの結末って、アリ? ドラマを見続けている人はそもそもこの「ネタバレレヴュー」を読んでないと思いますが、ドラマを最後まで楽しみたいなら、この小説を読むのは後回しにした方が絶対にいいです。それくらい最後のどんでん返しが衝撃的。伯朗が「自分が世界一の間抜けのように思えた。」と自らを評しているシーンがあるが(p. 471)、それがそのまま読者である僕自身に向けられているような気さえするのである。
東野圭吾おそるべし。そう、大阪出身の彼が、吉本新喜劇の「よくある展開」をこの小説で採用したと言えなくもないのだ(吉高由里子さんの役を、思わず鮫島幸恵さんと重ねてしまった)……って、それはさすがに無理繰りな解釈かな。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2020年10月22日
- 読了日 : 2020年10月20日
- 本棚登録日 : 2020年10月22日
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