いつかパラソルの下で (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2008年4月25日発売)
3.33
  • (83)
  • (279)
  • (574)
  • (85)
  • (9)
本棚登録 : 3014
感想 : 281
4

う~ん、これは私の物語だ。
野々は私だ。

自分の好きなように生きてきて、
これじゃダメだって思っても、時の流れに身を任せてるってヤツ。
何かうまく行かないことがあれば、
やれ父のせい・こんな体のせい・・・って責任転嫁してきたヤツ。

これ私だ。


亡くなった父の足跡をたどるために、佐渡島を訪れる兄妹たち。
憎くて嫌いな父は、どうしてこのような人格が形成されたのか・・・。
それを知るための旅。
結局わかったのは、憎くてしょうがない気持ちもいずれ風化されるってこと。
そして、風化されるまえに亡くなってしまったのが、非常に惜しいってこと。
きっと生きていれば、天気のいい日にパラソルの下で一緒にビール飲めただろうに・・・。

そう思っている野々と私は、同じなんだなぁって・・・。
きっと私と父もあと何年かすれば、そうなってただろうな・・・。





野々のことば
「愛しても愛しても、私自身はこの世界から愛されていないような、そんな気が心のどこかでいつもしていた。
 受け入れても受け入れても、私自身は受け入れられていない気がしていた。
 けれでもそれは私が父の娘であるせいではなく、自分自身のせいですらなく、生きるというのは元来、そういうことなのかもしれない。」

私は私。
片意地はるのはやめようと思う。
普通の日常を受け入れて、生きていこうと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年1月24日
読了日 : 2009年5月7日
本棚登録日 : 2013年1月24日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする