スウィングしなけりゃ意味がない

著者 :
  • KADOKAWA (2017年3月2日発売)
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本棚登録 : 486
感想 : 69
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ナチス全盛、まだホロコーストも本格化される前のドイツ ハンブルク。民主主義を象徴する頽廃音楽であるスウィングジャズを愛する少年エディと仲間たち。彼らはヒトラーユーゲントなどのナチのシンパを巧くかわしながら、音楽に合わせてステップを踏む暮らしをしてきた。
しかし、ナチスが勢力を伸ばし、ユダヤ人への圧政が増し、更には英米の抵抗にあって形勢が逆転するにつれて、強い締め付けを受けることになる。
あるものはユダヤ人というレッテルを貼られ、地下に潜る。あるものは家を追われ、家族と離れ離れに。そして、愛する人の消息も見失う。
それでも、圧迫に抗いながら、スウィングし、ステップを踏み続けようとするが、やがてその圧力はエディにも伸びてくる…

前半はエディがのしかかるナチスの圧力をすり抜けて、クレバーに生き抜く姿を応援し、中盤からはすり抜けきれず、仲間がナチスの圧力の犠牲になっていく姿に焦燥を覚える。

しかし、これを日本人の作家が独力で書いたということに驚嘆する。まるで、ドイツの作家が書いた小説の翻訳と聞いても疑わないほど、街の様子や登場人物が活き活きとリアルだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(国内)
感想投稿日 : 2019年7月18日
読了日 : 2019年7月17日
本棚登録日 : 2019年2月28日

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